小川誠子さん

 十四才で全国アマ女流選手権戦に出場、最年少で優勝し、大豪木谷実九段に入門、専門棋士として、女流本因坊位を獲得する等大活躍中の女流棋士。
 俳優の山本圭さんの奥さんで一児のママさんでもあります。
 この小川誠子さんが毎週日曜日午後、NHK教育テレビの囲碁番組に解説の聞きて役として出演されており楽しみにされているファンもたくさんおられると思います。
 とも子さんについてとても感心させられることがあります。
 それはテレビを観ている人であれば誰でも気付くことなのですが、解説をされている人の意図されていること、テレビで観戦している人達、それに聞き手の自らの立場等を絶妙に調和させる力を有していることについてであります。
 なかなかできないことといえましょう。
 聞き手が対局者の次の手を勝手に予想して観客に示すことは、名曲に雑音をさしはさむのに似たところがありはしないでしょうか。
 いのちがけで鍛えた超一流の棋士の着手の意図するところに触れる解説者の話をうまく引出し、深淵な術理のかもし出す碁の世界に視聴者を導き入れてこそ楽しい番組であるといえることだと思います。
 これは解説をされる先生方にくらべて遜色のない彼女の専門的な力量と、初心の人々迄を包込む優しさがあって始めて可能なことと言えましょう。
 今でも思い出すといわれている平塚の海に励まされ乍ら修業に明け暮れた小川誠子さん。
 「続ければ一生」という言葉が好きだというともこさん。
 道を通じて自らを学び、理合に生きることをよろこびとすることに相通じるものを感じます。
 道こそ違え、合気道を学ぶ我等にとりましても目標にすべき先生の一人であると思います。