インドネシア

 皆さんはインドネシアという国をご存知でしょうか。
 小生は全くの予備知識もなく、所用で昨年十一月から今年の始めにかけて、それぞれ一週間程度のほんの短い期間ですが、二度にわたり同国の首都であるジャカルタを訪問する機会がありましたので簡単に報告申し上げます。
 スマトラ、ジャワ、カリマンタン、スラベシ、イリアンジャヤの各島を中心に大小おおよそ千の島々から構成されるインドネシアは、その東西の距離は北米大陸の巾に匹敵し、自国内の時差が二時間もある大国であります。
 人口一億七千万人の約九割が世界最大の数を誇る回教徒であるといわれ、人々は親切で、優しく、治安も良く、一度この国を訪れた人は誰でも好きになると云われているそうであります。
 気温は常時三十度を超える暑さですが、人々の表情は明るく、街はいたるところで建設が行なわれ、活気に満ちており、市内では東京なみの混雑の中、人がこぼれおちそうになる程の満員バスがドアを開けたまま走り、一台のバイクに乗った家族四人が、信号の少ない広い道路を先をあらそうように走る車と車の間でもまれる姿は一驚に値します。
 又、その間を縫うようにして、瞬時の停車にスーと寄って来ては新聞等を売り歩く、ハダシの少年と老婆、そして肢体の不自由な人達、それらの人々に車内から静かに首を横に振る時は流石に複雑な気持になりました。
 インドネシア人には「頑張る」という言葉がなく、又「野望を持だない」ということも聞きました。
 本当にそうなのでしょうか、日本の人気テレビ「おしん」が異常な人気を呼んでいるのは何故なのでしょうか。
 風邪を引いても死の危険があるといわれる程の抵抗力のなさや、自然に生きる知恵からか、無理をしない彼等の歩く後姿から合気道を学ぶ者の一人として非常な興味をおぼえたことを結びとします。