歌四首

 何処より湧くや武産気の御技 日々の稽古は井戸の呼び水
 「呼び水」 この歌は額に入れて一時期道場の壁に飾らせて頂いたことがありました。
 後に「公の施設ですから」、ということで外させてもらいましたが、気の何たるかも解らぬままのたよりなさと初々しさが感じられます。

 在るがまゝ映す鏡を身に合わせ 分け入ってこそ道とぞ思う
 「鏡」 ガラスの鏡は映すことのみに働きがありますが、人の心の鏡は自己を省みるところにハタラキがあると思います。
 囚われのない心を理想としたいものであります。

 張る人の心を的の梓弓 満ちて離るゝ今ぞ美わし
 「梓弓」 人の心のハタラキは意識にある様に思います。
 何をするにもその人の意識を伴うからであります。
 的を意識した今、矢の放たれる今、常に今の連続であるともいえましょう。
 この歌は人に贈らせて頂いた歌であります。

 誠をばさらに誠に錬りあげて 顕幽一如の真諦を知れ
 「道歌」 合気道の道歌にもこのような素晴らしい歌が多くあります。
 いつかもいいましたが歌や詩はその人の気合ともいえます。
 皆様も是非こころみられてはいかがでしょうか。